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ティンパニ 音域
エム
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ティンパニの音って迫力があってカッコイイ!音域はどれくらい出るのかな?

オーケストラの中で、ティンパニは頻繁に出てくる楽器ではありませんが、ここぞ!というときに存在感のある音を聞かせてくれる重要なパートです。

でもティンパニのことを詳しく分かる人は、少ないのではないでしょうか。

✔この記事で分かること
  • ティンパニのインチと音域について
  • ティンパニの4大メーカーの音域と特徴
  • ティンパニの知っておきたい知識・チューニング方法
  • ティンパニが活躍するおすすめ曲3つ

これを読めば、ティンパニのインチごとの音域やメーカーの違い、また知っておきたい知識やチューニング方法まで詳しく分かりますよ!

ティンパニとはどんな楽器?

ティンパニは打楽器に分類されます。下半分の球体は銅でできており、その上に張られた皮(ヘッド)の部分を、通常2本のマレットで叩いて音を出します。

Mスタ編集部
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ヘッドの張り具合によって正確に音程(ドレミ)を出せるのが、他の打楽器にはない特徴ですね!

曲中で使う音をあらかじめチューニングしておき、異なる音程が出るティンパニを組み合わせることで、色々な音程で演奏することができます。

さらに多くの音程を出す必要があるときは、曲中でもチューニングペダルによって音程を変えることができるのです。

ティンパニ4台のインチについて

ティンパニは主に4台を使って演奏することが多く、その直径は約50~80㎝と全て違い、大きいサイズほど低い音域が出ます。

サイズは「インチ」という言葉で表され「32」「29」「26」「23」インチが一般的です。

ティンパニの音域

ティンパニは音程が出せる楽器ですが、それぞれのインチごとにどれくらいの音域が出せるのでしょうか?

詳しくみていきましょう。

ティンパニのインチと音域

引用元:ヤマハ公式ホームページ

上の表がインチごとに出せる音域です。演奏する曲と照らしあわせて見てみましょう。

この中でも29インチと26インチは、他に比べて出せる音域が少しだけ広いことが分かります。

ティンパニの適正な音域

先ほどの表のとおり、インチごとに出る音域が決まっていますが、その中でも適正な音域というのがあるようです。

それはインチの中でも最高音域と最低音域は、音が出ても質は良くありません。

最低音域は皮がたるんだようなボヨヨンとした音になりますし、最高音域は固くてあまり響きのない音になってしまいます。

そのため各インチの最高と最低音域を使うのは避けたほうが良いでしょう。

ティンパニの音域によるインチの割り当て方

4台のティンパニで演奏すると想定した場合、先ほど示したインチごとの音域を元に、どのティンパニから出すか考えます。

スコアに目を通し、低い音程のほうからインチの大きいティンパニに割り当ててみましょう。4つ以上の音を使う場合は途中で音程を変えます。

一般的には、隣同士のカマは叩きやすく、1つ離れたカマになると距離があるため速いパッセージは難しいこと、などを考慮します。

Mスタ編集部
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割り当てる方法に正解はなく、奏者の叩きやすい手の動きなどから、ベストな割り当てを考えてみましょう!

ティンパニの楽譜「ヘ音記号」の音階

 

ティンパニの音域は低いため、楽譜がヘ音記号で書かれていますね。

そのためヘ音記号を読むことが必須になりますが、難しいうちは上の表を参考に、読み仮名をふってもいいのではないでしょうか。

慣れていくと、徐々に早く読めるようになりますよ。

ティンパニの4大メーカーと音域・特徴

ティンパニを作っている4大メーカーとして「ヤマハ」「ラディック」「パール」「プレミア」が挙げられます。

実は、それぞれのメーカーごとに音域や特徴が少しずつ違うのです。1つずつ見ていきましょう。

①ヤマハ

引用元:ヤマハ公式ホームページ

ヤマハのティンパニの特徴は、ベーシックモデルから上級モデルまで取り揃えているラインナップの豊富さでしょう。

その中でも最もベーシックな「TP-6300R」シリーズのサイズと音域についてまとめました。

このモデルには安定した音程で演奏しやすいヘッドが使われており、初心者の方でも安心です。

品番 サイズ 音域
TP-6323R 23” c-a♭
TP-6326R 26” A-f
TP-6329R 29” F-d♭
TP-6332R 32” D-B♭

またヤマハの中でもベーシックと上級モデルでは、同じインチでも音域が違ってくるそうです。

②ラディック

 

引用元:ラディック公式ホームページ

チューニングの操作性にこだわり抜いたラディック社が誇る「バランスアクション」メカニズム。

また明るい音色が特徴のラディック社のティンパニは、プロフェッショナルモデルとスタンダードシリーズがあります。

こちらはスタンダードモデルのインチと音域です。

品番 インチ 音域
LKS423PG 23" d-b
LKS426PG 26" a-f
LKS429PG 29" e-c
LKS432PG 32" d-b

③パール

引用元:パール公式ホームページ

パールのティンパニは、オーダー生産の1台100万円以上のものから、10万円台のモデルまで幅広くあります。

また、強く叩いても音が割れない皮(ヘッド)や、ペダルには音程調節がしやすいペダルバランススプリング式を採用する、などのこだわりが。

その中でもベストセラーモデルになっているHandmade Symphonic Pedal Timpani85の特徴をご紹介しましょう。

品番 インチ 音域
85S 23" f-d♭
85M 26" a-f
85L 29" c-a♭
85LL 32" e-c

④プレミア

引用元:Premier公式ホームページ

イギリスのメーカーであるプレミア社のティンパニは、クラッチ方式で音域が広く出るようになっています。他社と比べるとインチや音域が少し違いますね。

プレミアは「プロフェッショナルモデル」と「エリートモデル」がありますが、プロフェッショナルモデルについてはこちらです。

インチ 音域
25" a-f
28" f-d
30" e♭-b♭
32" c-a

ティンパニの知っておきたい知識

ティンパニには、さらに様々な種類があり、ペダルティンパニにも2つの方式があります。

ティンパニの種類について

ティンパニには、音程の変え方により次の4つの種類があります。それぞれの種類と特徴についてご紹介しましょう。

ティンパニの種類 特徴
手締め式 チューニングボルトを手で絞めて音程をあわせます。
ハンドル式 チューニングハンドルを回転させて音程を変更します。手動のため、瞬時の音程変更には向きません。
ペダルロック式 ラチェット式とクラッチ式のロック機能があり、ヘッドの張力をキープします。
ペダルバランススプリング式 ペダルスプリングとヘッドの張力でバランスを取ります。ペダルから足を離しても音程をキープできます。
Mスタ編集部
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現在は、音程の調節がしやすいペダルバランススプリング式が主流になっています。

ペダルティンパニには2つの方式がある

ペダルティンパニには「ロック式」と「バランスアクション式」があります。

ロック式は、さらにラチェット式とクラッチ式の2種類があります。ペダルの位置がロックされるためズレにくく、プロの演奏家が使うことが多いです。

バランスアクション式はロック機能がなく、ペダルを上下するだけで音程が容易に変えられるため、学校や吹奏楽団でよく使われています。

ティンパニの上手な鳴らし方

ティンパニを演奏するときは、大きな力で叩こうと思わず、腕の力を抜いてリラックスした状態で叩いたほうが鳴り響きます。

マレットは真ん中より少し下のほうを持ち、親指と人差し指で軽く握ります。他の指には力を入れません。

叩く場所はヘッドの真ん中よりやや手前側を叩きます。ヘッドとティンパニ胴体部分の振動を邪魔しないよう、自然に振動させるイメージです。

コツがつかめたら、広い空間を感じて遠くまで音を飛ばすイメージで、何度も叩いて練習してみます。

ティンパニのチューニング方法

ては次にティンパニのチューニング方法です。最も多く使われている、ペダル式のチューニング方法について解説していきましょう。

チューニングに必要なもの

 

ヤマハ・ティンパニー用チューニングキーZP546600

引用元:楽天ホームページ

ティンパニのチューニングには、ボトルを締めるための「チューニングキー」と「チューナー」が必要です。

また音を叩いて確かめるのに、マレットも必要ですね。

チューニングのやり方

チューニングなんて難しそうと思われるかもしれませんが、コツとやり方が分かれば大丈夫です。

チューニングは、ヘッドの交換後や最低音よりも低い音が出ている状態、またしばらくチューニングしていない時には必ず行いましょう。

サイズごとの適した音域を確認したら、次の手順で始めてみましょう。

✔チューニングのやり方
  • ペダルのかかと部分を下に止まるまで踏み込み、最低音の設定にします。踏み込んだまま次の作業をします。
  • チューニングキーを使って、低い音程のボルトから対角線上に締めていきます。少しずつ均等な力で締めるのがポイントです。
  • チューナーで音程を確認しながら、均等になるようにボルトを締めていきます。実際の演奏で叩く「打点」を叩いて比べるようにしましょう。

なお、チューナーに毎回頼らずに自分の耳で音の高低差が分かるよう、少しずつ練習することも意識しましょう。

ティンパニが活躍するおすすめ曲3選!

最後にティンパニが効果的に使われているおすすめの3曲をご紹介しましょう。

L.v.ベートーヴェン「交響曲第9番」合唱付き

出典元:hr-Sinfonieorchester 公式YouTube

年末によく聞かれるベートーヴェンの「第9」は、最後の合唱付きの部分が有名ですが、冒頭のティンパニから始まる2楽章もティンパニが効果的に使われています。

ベートーヴェンは古典派の作曲家の中で、ティンパニの使い方に革新をもたらした作曲家です。

R.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語り」


出典元:Berliner Philharmoniker公式YouTube

この曲名をみてピンとこない人でも、映画「2001年宇宙の旅」で使われている曲といえば聞き覚えがあるでしょう。

冒頭の金管楽器に続く、ティンパニが繰り返される部分はとても迫力があり、印象深く残ります。

プーランク「オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲」


出典元:hr-Sinfonieorchester 公式YouTube

フランスの作曲家プーランクによって作られたこの曲は、1938年に初演されました。

管楽器の代わりにオルガンが用いられ、ティンパニとオルガン、弦楽器によって緊張感のある演奏が繰り広げられます。

ティンパニの音域まとめ

ティンパニ 音域

ティンパニは主に4つのインチ(大きさ)があり、それぞれに適した音域を考え、曲中でどの音をどのティンパニに割り当てるかを考えます。

また主なメーカーには「ヤマハ」「ラディック」「パール」「プレミア」があり、それぞれに音域や特徴も違うことが分かりました。

さらに、知っておきたい知識やティンパニの種類、チューニングのやり方もまとめてみました。

ティンパニの魅力が伝わり、演奏するときのご参考になれば幸いです。

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