チェロといえば、美しい曲線のフォルムで、男性の声のような中低音を奏でる魅力あふれる弦楽器ですよね。演奏する姿も優雅で、弾けるとカッコイイ憧れの楽器です。
この記事では、チェロの音域や音色の特徴、演奏が上達するコツや、初心者にもおすすめの曲などについて紹介していきます。
- 人の声や他の弦楽器と比較したチェロの音域
- チェロの音色の特徴
- 演奏が上達するコツとおすすめの練習法
- 初心者にもおすすめの曲や音楽教室
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Contents
チェロの構造と発音の仕組み
まずは、楽器の構造と音が鳴る仕組みについて、解説していきます。
チェロの構造
チェロは、木でできた中が空洞の本体に、弦を張った弦楽器です。大きさはバイオリンの約2倍、厚みは約4倍あり、低い音色を鳴らすことができます。
バイオリンやヴィオラのように肩に乗せられないので、本体の下側に楽器を支えるエンドピンが付いています。
本体の表板は主にマツ科の木材で、裏板・側板・ネックは主にカエデ科の木材が使用されています。この木材の産地や木目、職人によって音色や値段に差があります。
弦は4本あり、ペグを回すことで弦の張り具合を調節し、音の高さを合わせます(チューニング)。合わせる音の高さは、低い方から「C」「G」「D」「A」です。
弦の素材は、スチール弦・ガット弦・ナイロン弦の3種類があり、耐久性や音色に違いがあります。
中央の駒とよばれる薄い木が弦を支え、振動を本体へ共鳴をさせる役割をもちます。
弓は、強度に優れた木材でできた”棹”に、馬のしっぽの毛を150~200本ほどを束にした”弓毛”を張ってあります。弓毛は室内の温度や湿度に応じて、ネジで張り具合を調節します。
弓の長さは、バイオリンやヴィオラが約72cmに対して、チェロは約69㎝と短いです。
また弓の重さは、バイオリンが60g前後に対して、チェロは80g前後と重いです。
チェロの発音の仕組み
チェロもバイオリンやヴィオラと同じ仕組みです。具体的には、主に弓で弦を擦ることで、弓毛についている松脂が弦に引っかかり、摩擦で振動が作られます。
その振動は、駒によって通して本体に共鳴し、駒の両脇に開いた「f字孔(エフじこう)」と呼ばれる2つの穴から出て、聴く人の耳に届きます。
弓で擦る以外に、指で弦を弾いて演奏する方法もあります。この方法は、「ピッチカート(ピチカート)奏法」と呼ばれ、短く弾むような音を出すことができます。
チェロの音域別、音色の特徴!
チェロの音色は、弦によってそれぞれ特徴があります。音域別に紹介します。
①高音域(A線)
演奏者側から1番遠くに位置する弦は、「A(アー)線」や「第Ⅰ線」と呼ばれる細い弦で、高音域を担当します。
外側に位置するので、弓の運動の制限が少ないです。そのため運動量の多いフレーズも演奏しやすく、幅広い表現が可能です。
音色は、明るくクリアで、艶やかです。まさに主旋律を演奏するのにふさわしい響きがします。
②中音域(D線・G線)
真ん中に位置する2本は、「D(デー)線」や「第Ⅱ線」、「G(ジー)線」や「第Ⅲ線」と呼ばれる中くらいの太さの弦で、中~高音域を担当します。
内側に位置する2本であるので、外側にある弦に比べると弓の運動に少し制約があります。
音色は、柔らかく、落ち着きのある美しい響きが特徴的です。
③低音域(C線)
最も演奏者に近い弦は、「C(ツェー)線」や「第Ⅳ線」と呼ばれる太い弦で、低~中音域を担当します。
音色は太く、深みのある力強い響きが特徴的です。
チェロの得意なフレーズ
弦楽器はスケールやリズムの速いフレーズ、同音連打、表現豊かに歌うようなビブラート、トリルのような細かい装飾音もこなす万能の楽器です。
その中でも、チェロは低音から高音まで音域が広いことから、ベースから叙情的な旋律、音の跳躍が激しいフレーズも、卒なくこなすことができます。
チェロの苦手なフレーズ
弦楽器にとって、弦をおさえるポジションの移動が激しい旋律や、弦の移動を伴う旋律、高速に弓を動かす技能が求められる旋律は、難易度が高いです。
またチェロは、バイオリンやヴィオラよりも低音域の運指が複雑です。
チェロと弦楽器の音域比較一覧!
チェロは、低音域から高音域まで音域が広く、人の男性の声に近いとよく言われます。
具体的にどのくらいの音域なのか、他の弦楽器や人の声の音域と比較していきます。
弦楽器の音域一覧表は下記の通りです。
最低音 | 最高音 | 範囲 | |
チェロ | G2 | E6 | 45 |
ヴィオラ | C2 | C5 | 36 |
チェロ | C1 | G4 | 43 |
コントラバス | E0 | C3 | 36 |
①バイオリン
弦楽器の中で最も高いバイオリンの音域は、G2~E6で、範囲は3オクターブと6度と非常に広いです。
本体の長さが約60cmと最も小さい為、隣の音との弦を押さえる間隔が狭く、中音から高音まで演奏することができます。
調弦は低い方から「G2」「D3」「A3」「E4」と合わせます。
音色は、高音域が特に華やかで、繊細な音から力強い音まで幅広い表現が可能です。
②ヴィオラ
チェロの次に高いヴィオラの音域は、C2~C5で、範囲は3オクターブです。
遠目ではチェロに似ていますが、本体は約70㎝と一回り大きく、中低音~高音まで演奏することができます。
調弦は低い方から「C2」「G2」「D3」「A3」と合わせます。
音色は柔らかく、特に中音域が豊かです。
③チェロ
チェロの音域は、C1~G4で、範囲は3オクターブと5度と非常に広いです。
本体は約120㎝で、肩に担がないため、弦を広範囲で押さえることができ、低音から高音まで演奏することができます。
その為、ベースから主役の旋律までこなす万能の楽器です。
調弦は低い方から「C1」「G1」「D2」「A2」と合わせます。
音色は、優雅で力強く、憂いのある高音も魅力的です。
④コントラバス
コントラバスの音域は、E0~C3で、範囲は2オクターブと6度と弦楽器の中では狭いです。
本体が約180㎝の大型の楽器で、立って演奏をします。主にベースを担当し、全体を支える役割を果たします。
調弦は低い方から「E0」「A0」「D1」「G1」と合わせます。
音色は太く、重厚感があります。
⑤男性の人の声
男性の平均的な音域は、D3~D5であり、地声での範囲がD3~A4です。
低い範囲は、チェロの方が圧倒的に広いですが、高音域を比較すると1番男性の声に近いと言えます。
ちなみに女性の平均的な音域は、G3~E5で、比較するとヴィオラの音域に1番近いと言えます。
演奏が上達するコツ!
高音多湿に弱い弦楽器は、良い音色を奏でるためにお手入れが欠かせません。また上達するためには、正しい姿勢で演奏するだけで、楽に早く上達することができます。
ここではチェロの音色を保つ楽器のお手入れやメンテナンス、姿勢や構え方のコツをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
①楽器のお手入れ
日常のお手入れ
【本体の手入れ】
演奏後すぐに、専用のクロスやガーゼで乾拭きし、楽器に付着した松脂や手垢、汗を拭きとりましょう。松脂は放置すると固まり落としにくくなりますので、放置しないようにしましょう。
また強く擦るとニスが剥げるので、軽く拭き取ります。クロスは、松脂用と汗ふき用に分けて2枚用意しておくことをおすすめします。
【弓の手入れ】
弓は、棹だけを拭きます。弓毛は必ず緩めてからケースにしまいましょう。
弓毛を張ったままにしておくと棹の反りが損なわれ、演奏しづらくなるので気をつけましょう。
定期的なメンテナンス
チェロの弦は消耗品です。弦が古くなると音色も落ちるので、少なくとも半年に1回程度は弦を交換するのがおすすめです。
弓毛も消耗品です。定期的に毛替えをしましょう。演奏の頻度にもよりますが、一般的には半年から1年に1回程度必要になるとされています。
弦の張り方が分からない場合や、技術が必要な毛替えは、楽器店に依頼しましょう。
チェロの保管
チェロは、直射日光や高音多湿、乾燥に弱い楽器です。高温で接着剤が溶けたり、湿気で板の厚みが変化したり、乾燥で指板が外れたりすることがあります。
演奏後は必ずケースに入れ、できるだけ高音を避け、湿度が安定したところに置くようにしましょう。
最適な湿度は、50%前後です。難しい場合には、季節に応じてケース内に湿度調整剤を入れておくとよいです。
②姿勢
楽器に体を合わせにいくのではなく、自分のまっすぐ座った姿勢に楽器を斜めに立てかけましょう。
ポイントは以下の通りです。一つずつ確認しましょう。
- イスの前の方に座ります。目安は、お尻の位置をイスの手前3分の1程度です。
- 足を左右均等に外側に広げ、ひざは90度に曲げます。
- へその延長戦上にエンドピンを置きます。
- エンドピンは体の中央に置いたまま、ネックを自分の左にずらします。
- 自分のみぞおちにチェロの裏版が当たるようにします。
- 背筋はまっすぐ、ひざは90度に曲がったままの状態で、チェロをはさみ、固定します。
- 駒より上の弓で擦る部分がへその高さになるようにエンドピンで高さを調節します。
- 背筋が曲がったりせず、リラックスした状態にします。
③持ち方
ネックを持つ左手と、弓を持つ右手のポイントは、以下の通りです。
- 手の平の中に卵をもっているような空間を作ります。
- 肘から手の甲までなるべく一直線になるようにします。
- 弦は指の腹で上から重さを落とすように押さえます。
- 基本的に中指・薬指・親指の3本の指を中心に支えます。(きつねのような形)
- 親指の第1関節を軽く曲げ、中指の第1関節の近くに寄せるように手の形を作ります。
- 親指と弓の角度が90度になるようにします。
- どの指もまっすぐ突っ張らないようにし、3本の指の腹を使ってつまむように持ちます。
初心者でもできるおすすめの練習法!
今すぐにできるおすすめの練習法を5つご紹介します。
どれも演奏力アップにとても効果がありますので、ぜひ試してみてください。
①鏡を見て練習する
楽器を斜めに立てかける構えなので、つい体も曲がり、姿勢が悪くなりがちです。
鏡の前で練習するだけで、姿勢がよくなり、チェロの演奏に必要な筋肉も鍛えられます。
姿勢がよさをキープするだけで、演奏も楽になり、疲れにくく、必然と音色もよくなります。
初心者でもできる効果抜群の方法なので、ぜひ習慣にしてみましょう。
もし大きな鏡がない場合は、スマホやタブレット等で自分の演奏姿を録画して見ることをおすすめします。
②ロングトーンで音階練習
ロングトーンとは、音を一定にまっすぐ伸ばすことです。
弓の端から端まで、同じ音量・音質・速度・角度であることを意識して伸ばします。
始めはテンポ60の速さで4拍間伸ばし、音もだんだん高くしていきましょう。
「ロングトーンを制する者は、全ての弓使いを制する」と言われるほど、演奏の土台となる技術です。
毎回ウォーミングアップとして必ず行い、弓使いの基礎を積み重ねていきましょう。
③正しい音程をたくさん聴く
チェロは、指で弦を押さえて音程をつくるので、正しい音感が必要です。良い演奏をたくさん聴くことで、正しい音程を脳に記憶させ、音感をアップすることができます。
またチューナーで自分の音を確認しながら練習する方法も一つの手です。
音感を鍛える方法は他にもありますので、興味のある方はこちらの記事を参考にしてください。
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④正しい音程で歌う
旋律を歌うことで、音感と弓の使い方(ボーイング)、表現力の向上につながります。
チェロは、主役として叙情的な旋律を請け負うことも多く、歌うように演奏する表現力も求められます。
練習においてフレーズを声に出してくり返し歌い、正しい音程感と呼吸の仕方を整理しましょう。
十分に歌いこなせたら、その歌い方を崩さない弓使いを意識しましょう。
チェロで演奏する時には、いつもその曲調やフレーズに合わせたブレスをとることを大切にしましょう。
⑤人に聞いてもらう
最も簡単で確実に技術を身に付ける方法は、自分の演奏を人に聞いてもらうことです。
独学では、限界があります。特に初心者は気をつけることがたくさんあるので、スクールに通うことも一つの方法です。
周りのチェロ経験者やプロの講師に見てもらうことで、自分の実態に合った練習法を提案してもらうことができます。
最短でチェロを上達したい方は、ぜひ検討してみましょう。
チェロの練習におすすめなクラシック名曲3選!
演奏してみたい憧れのチェロの名曲はたくさんありますよね。その中でも比較的難易度が低いおすすめの名曲をご紹介します。
①カノン/パッヘルベル
出典元: 0Bach0 YouTube
1653年~1703年に活躍したパッヘルベルの名作で、同じコード進行の中で変化していく美しい旋律と、その旋律が3つ追いかけっこのように重なるハーモニーが見事な名曲です。
チェロは8音でできたシンプルなベースラインを、何度もくり返します。難易度が低く、バイオリンの旋律と重ねると美しいのでとてもおすすめです。
②アメイジング・グレイス/作曲者不詳
出典元: Warner Classics YouTube
アメイジンググレイスは、イギリスの有名な讃美歌です。神聖で厳かな雰囲気のある曲調で、祈りを捧げるようにたっぷりと歌い上げる音色が感動的な名曲です。
16小節の旋律を、ゆったりとしたテンポで繰り返します。シンプルな旋律で、知名度の高さから感情もこめやすく、難易度は比較的低めです。
③木星(管弦楽組曲「惑星」より)/ホルスト
木星(Jupiter)は、組曲「惑星」の中でも最も有名な曲です。特に中間部の旋律は世界的に愛されており、日本でも平原綾香さんがカバーしたことで話題となりました。
チェロならではの深い音色がマッチした美しく感動的な旋律で、演奏しがいがある曲です。落ち着いたテンポなので、比較的易しめです。
最短で上達したい方はスクールが1番!おすすめの音楽教室をご紹介!
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レッスン料金 | 5,500円 (45分) |
対象レベル | 初心者/趣味/プロ |
音楽ジャンル | クラシック・JPOP等 |
オンライン対応 | ✖ |
無料体験 | ○ |
住所 | 東京都中央区八重洲1-4-20 MTエステートビル6F |
チェロの音域まとめ
チェロの音域の特徴や、楽器が上達するコツ、おすすめの練習法や曲、スクールについて紹介してきました。
チェロをこれから始める方も、すでに経験している方も、ぜひこの記事を参考に、ご自身の演奏力アップを目指してみてください!